姐さん

小豆島での住み込みの話の続き。

高松港から、島についてホテル案内を支配人にしてもらったときにお座敷の裏側で着物を着た60才代のおばあさんたちがせわしなく働いていました。

初めて見る、そうその人たちは昼ドラの花嫁のれんにでてくるような仲居さんたちでした。 後に知るのですが旅館やホテルで長く働いている仲居さんを姐さんと呼ぶそうで、新人のころは姐さんについて仕事を習うことになります。

初めて目にした姐さんたち。同世代の出稼ぎの人たちはバックパッカーするような旅行者がほぼですが、ここは日本。されど日本人です。しかも離島。

姐さんたちとの相性もあり新人は慣れるまでそれなりにあって最初は話す人もいなく、帰りたくても帰ることは決して許されません。ですが、シャイな私でもやっと徐々に周りの人と話すようになったある日でした。

その日の夜の座敷は姐さんと私一人。入って間もなくだったので、料理の器の並べ方や運ぶ順番、部屋案内の仕方は慣れてる人の横についてたので良かったのですが、その日の姐さんは何を聞いても全部シカト。

別の座敷の担当をしていた姐さんが、 「ちょっと、ちょっと」と手招き。

いきなり私を呼び出し、座敷に用意された器や運び方の順番をこっそり教えてくれたのです。

「これだけ最低限覚えれば大丈夫やろ、あの姐さんは新人にはああいう人だから頑張って」

いざお客さんたちが温泉からあがってお座敷の食事がスタート。かといって仕事は1人では決してできません。普段はシャイな私でも、

パンチ効いてるな・・・が!これはいかん・・・これではなんも始まらんと

シカトを続ける姐さんに自らこっそり教えてもらった手順で手伝い

「これ、ここに運んどきますね~!」などど声掛けしてはシカトされ続けてもやることはやるという流れに。やっと話しかけてくれたのはそのお座敷が終わってからでしょうか。それからなぜかその姐さんは私に普通にニコニコして話しかけてくれるようになりましたw

そんな出稼ぎも最後の日。感極まるものもあり、涙うるうるで小豆島を去って。

帰りに寄ったのは豊島と直島。

ビーチの先にアート。
豊島美術館
直島の南瓜。(草間弥生)
直島のI♡湯

前回も書いたのですが、四国に浮かぶ離島で島のアートをすらすらと説明しては案内してくれた漁師のおじいさんや喫茶店のおばあさん。

アートは人の心を動かすんだなあと。こんなに素晴らしいことってないなあとしみじみと感動したのを覚えています。

こんな素敵なものを見れる目があって、目にするだけでもこの世に感謝しなければならないと。

いつまでも忘れられない、心の中に残る島です。