石井裕也監督(代表作:川の底からこんにちは 舟を編む)
2017年制作。
ジャンル:ラブ
ストーリー度:★★★★
完成度:★★★★
石井裕也監督が、新進気鋭の詩人、最果タヒの詩をイマジネーションして作られたという恋愛映画。
【「舟を編む」の石井裕也監督が、注目の詩人・最果タヒの同名詩集をもとに、都会の片隅で孤独を抱えて生きる現代の若い男女の繊細な恋愛模様を描き出す。看護師をしながら夜はガールズバーで働く美香は、言葉にできない不安や孤独を抱えつつ毎日をやり過ごしている。一方、工事現場で日雇いの仕事をしている慎二は、常に死の気配を感じながらも希望を求めてひたむきに生きていた。排他的な東京での生活にそれぞれ居心地の悪さを感じていた2人は、ある日偶然出会い、心を通わせていく。ヒロイン・美香役には、石橋凌と原田美枝子の次女で本作が映画初主演となる石橋静河を抜擢。「ぼくたちの家族」でも石井監督と組んだ池松壮亮が慎二役を演じる。】引用
都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
(都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
(都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗ったつめの色をきみの体の内側に探したって見つかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
誰も愛さない間、きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に恋愛なんてものは存在しない。)
詩集:(世界はいつでも最高密度の青色だ)より」
舞台は東京。渋谷、新宿という大都会の街で、せわしなく日々を削られるような感覚の中で、若い二人は出合います。
美香は、看護師をしながらガールズバーで働き、田舎の実家に、働かない父のせいで仕送りを続けている。どちらかというと人を信用しない気が強い女の子。
慎二は、片目が見えないハンディを持ちながら、日雇いで工事現場に働いている。しゃべり続けないと落ち着かない変わった男の子。
そんな普通とは違った感覚で変わっている二人。
渋谷の片隅で、東京という街を歌い上げる売れないミュージシャン。
その様子を見て、美香は慎二に
「あの人いつもあそこで歌ってるけど誰も聞いてないね」
と言います。
その様子は、東京の排他的な厳しい現実のなかで透明にならなくては息もできない街と
映画のキャッチコピーを思わせます。
映画のキャッチコピーを思わせます。
慎二は、家賃6万5千円、畳6畳ほどの狭いボロアパートで溜まった光熱費の請求書の束を眺めながら、
「携帯、9,700円。ガス代、3,261円。電気、2,386円。家賃 65,000円、シリア、テロリズム、
食費 25,000円、ガールズバー 18,000円、震災、トモユキが死んだ、イラクで56人死んだ、
薬害エイズ訴訟、制汗スプレー 750円、安保法案、少子高齢化……、会いたい」引用:世界は最高三津田の青色だ(ホームページより)
食費 25,000円、ガールズバー 18,000円、震災、トモユキが死んだ、イラクで56人死んだ、
薬害エイズ訴訟、制汗スプレー 750円、安保法案、少子高齢化……、会いたい」引用:世界は最高三津田の青色だ(ホームページより)
と頭の中で美香をすっかり好きになってることに気づく。
しゃべらないと落ち着かないんだろうねと、美香は慎二に言い、時に人や恋愛を信じれない美香は
非情な乾いた言葉で慎二を毒ついたりもする。
そんな二人が付き合うことになり、美香の実家に挨拶に行くことまで二人の距離は近づきます。
そして、東京に帰り着いた二人。
ラストシーン。
いつか見た、あの売れないミュージシャンがメジャーデビューと告知した広告のトラックが走っているのを見てお互いに嬉しそうに見つめあって笑う。
「透明にならなくては息もできない街で、君を見つけた。」
この映画は、
まさしく現代の東京における、
リアルなトーキョーラブストーリーではないでしょうか。
今夜はクリスマスイブ。
そんな聖なる夜に是非。
そんな聖なる夜に是非。
いいクリスマス映画は多々あるのですが、今年は敢えてこの映画作品について書いてみました。
素敵なクリスマスイブをお過ごしください。